いま、私たちが考えるべきは、共生(ともに生きる)という“持続性革命”の追求です。これまでの企業経営は利潤の追求やROE が最優先事項でした。しかしこれからは、よい目的を掲げ、社会最適の視点でイノベーションを実践することが中心命題になると考えられています。利他の精神を持ち、地球最適の構想⼒と実⾏⼒を兼ね備えた企業が21世紀の主役となるのです。野中郁次郎一橋大学名誉教授と紺野登多摩大学大学院教授は、それを賢慮資本主義(Prudent Capitalism)と呼んでいます。
20世紀の急速な経済発展は、目を見張るような富を生み人々に生活向上をもたらしました。しかし同時に負の資産も生み出しています。第一は地球温暖化に伴う生存基盤の問題です。第二は技術革新に伴う倫理の問題。第三は対立や紛争といった人と人のつながりの問題。第四はビジネスをつかさどる私たちの価値理念の問題です。